環境への責務

 
MSCクルーズは代々、長きにわたる航海と船舶操縦術の歴史のなかで各々の責務を果たしてきた船長と船主によって支えられてきました。
私たちの一族が初めて船出した1675年以降、当社は絶え間なく探検をつづけてきました。 
 
MSCクルーズの基盤は、いつも海洋にあります。そのため当社は、海洋を保全し、保護することに強い責任を感じています。
そして何よりも、事業を行う環境と、ともに航海するお客様、ともに働く職員、寄港する街、私たちが訪れる地のコミュニティに配慮しています。

MSCクルーズがクルーズ業界で大手初となるカーボンニュートラル運営を実現します。

 
MSCクルーズのすべての船からの環境への影響をゼロにするため、MSCクルーズはカーボンニュートラルとなります。
2020年1月よりCO2排出を相殺します。


現状の技術では船からのCO2排出は避けられません。MSCクルーズは技術の進歩と共に船からの排出物をゼロにする目標を持っています。
造船所や研究所と共同で目標を達成するための投資と努力は続けながら、すべてのCO2排出をオフセットします。


MSCクルーズでは直接、また乗客との協力でブルーカーボンオフセット事業などを使ってオフセットを行います。


MSCクルーズでは直ちにブルーカーボンオフセットを利用するのと同時に、海洋の生態系や海洋に関係した地域への貢献となる事業を開発していきます。


MSCクルーズは国際的なプロバイダーや国際規格と手を組んで、地域への貢献、環境への貢献、そして国際連合の定めた「持続可能な開発目標」への貢献となる事業へと投資を行います。
 

 
すべての新造船や既存の船体へ最新で最高の環境保全技術の投入を続け、ゼロエミッション達成に近づく次世代の先端技術への投資を続けます。
 
 

船体の省エネルギー技術

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航行計画策定ソフトウェア 

旅程を最適化することにより、エネルギー消費量を抑えます。当社では効率的に旅程計画を策定し、専用ソフトウェアを用いて最適な航路と停泊時間を算定しています。 


トリムの最適化 

トリムを最適化するためには、常に調整をしつづける必要があります。当社の船舶には、トリムをリアルタイムにモニタリングし、最適化するソフトウェア・アプリケーションが搭載されています。乗組員はこの技術を利用し、船舶のトリムを最適な状態に維持することにより、燃料の消費を抑え、性能を向上させます。 


防汚塗装 

船体は、フジツボや藻、海洋生物が付着しやすい性質を備えています。そのため抵抗が増し、船体の効率性が低下するおそれがあります。当社では全ての船舶の船体に防汚塗装を施すことにより、船体の流線型をできる限り保ちます。使用する塗料にはTBTは含まれていません。当社では可能な限り、毒性物質を海洋から遠ざける取り組みを行っています。 


高効率電化製品 

当社による二酸化炭素排出量の削減に向けた取り組みは見せかけだけのものではありません。これを実現するためには、日々の電力使用量も同じように重要な意味を持っています。冷蔵庫や温水器、食器洗浄機、洗濯機、乾燥機など、エネルギー効率性の高い電化製品を船内で使用することにより、二酸化炭素排出量を日常的に抑えています。 


省エネルギー型LED照明 

当社の船舶では、エネルギー効率性に優れたLED照明や蛍光灯を使用しています。それにより消費電力を抑えつつ、電球1個あたりの光量を維持し、エネルギーを節約しています。 


スマート冷暖房空調システム(HVAC) 

当社船舶の船内HVACシステムはエネルギー消費量を抑えるよう設計されており、温熱と冷熱をインテリジェントに分配します。また船内の温暖な区画から熱を回収し、必要な区画に熱を再分配することもできます。

1. エネルギー効率と先進的な船舶設計

エネルギー効率と先進的な船舶設計
エネルギー効率と先進的な船舶設計

当社では、新しい船舶を設計する際に設計図に最初の線を引いてから、最後の電球を取り付けるまで、常にエネルギー効率を念頭に置いて作業しています。

当社は最も近代的な船団を保有しています。また6種類の船舶クラスを設計し、開発しています。どのクラスの船舶も、必ず過去の船舶を上回る性能を実現しています。 


当社では新たな船舶を建造する際、既存のモデルを模倣することはいたしません。どのクラスの船舶でも、新たに建造する際には設計を根本から見直し、最適な効率性を実現しています。そのため、船舶の全般的な構造やデッキスペース、船体や方向舵、バルバス・バウなどの重量分布について再検討し、流体力学、空気力学を最適化するとともに、エネルギーと燃料の効率性を最大限に高めています。


MSCメラビリアの場合、乗客数はファンタジア級を20%上回っているにもかかわらず、必要なエネルギー量は変わりません。

2. 船舶からの排出物による空気品質の改善

MSCクルーズでは空気品質の改善に向け、多額の資金を投じています。当社では、港湾や特定の事業区域における、硫黄やその他の物質の排出を抑える幅広い取り組みの一環として、さまざまな取り組みを実施し、パフォーマンスを改善しています。

当社が新たに建造する船舶は、全てハイブリッド排ガス浄化システム(EGCS)を搭載しているか、または液化天然ガス(LNG)を燃料として運航しています。また当社が保有する船舶の供用年数を延ばすため、旧型の船舶へのハイブリッドEGCS技術の搭載を中心とする修復プログラムを着実に進めています。 


当社のハイブリッドEGCSシステムは、開ループでも閉ループでも運用することができます。また船舶用超低硫黄燃料を使用した場合よりも高いレベルで排出物を削減し、規制に準拠することができます。 


EGCSを使用していない船舶が欧州の港湾に寄港する場合や、環境への影響が生じやすい海域を航行する場合には、超低硫黄燃料を使用しています。 


2019年末までには、以下を実現する予定です。 

- MSCクルーズが保有する17隻の船舶のうち、11隻に排ガス浄化システムを搭載します。

- 当社の全係留設備の74%に排ガス浄化技術を採用します。

船舶からの排出物による空気品質の改善

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排ガス浄化システムとは 

EGCS(排ガス浄化システム)とはまさに文字通り、排ガスを「浄化」するシステムです。このシステムを通じてエンジン排ガスから粒子や特定の排出物を能動的に除去します。EGCSは複数のコンポーネントで構成されています。各コンポーネントが連動したシャワー網が排ガスを「洗浄」し、二酸化硫黄を97%除去するとともに、粒状物質を大幅に軽減するという非常に重要な役割を果たします。当社の最新型船舶であるMSCベリッシマ、MSCシービュー、MSCシーサイド、MSCメラビリアには、いずれも就航時から排ガス浄化システムが搭載されています。 


陸上電力供給 

当社の最新型船舶クラスには、港湾での停泊時の排出物を削減するため、陸上電力供給に適合した設計が施されています。全世界の港湾当局において、陸上電力供給の研究が進みつつあります。そのため、この技術には港湾区域における空気排出物を削減する効果を発揮する可能性があると当社では考えています。2017年以降に運航を開始した当社のクルーズ船には、全て陸上電力を受給する設備が搭載されています。さらに今後、陸上電力供給システムを利用できる地域が拡大した場合には、必要に応じて運航中の船舶を改修する準備も進めています。

3. 水の保全

水の保全

水の保全

淡水は限りある資源です。当社では淡水を慎重かつ効率的に使用することを理念としています。そのため可能な限りのさまざまな取り組みを実施することで水消費量を抑えています。MSCクルーズでは、水使用量を抑える技術から船内での啓蒙キャンペーンを通じた水に対する責任感の啓蒙まで、積極的に水の保全に努めています。

当社では原則として、港湾や沿岸部のコミュニティからは水を採取しないと定めています。当社が船内で使用する水はほぼ全てが自己生産によるものです。当社の船団には、全て淡水製造設備が搭載されています。最新型船舶には、高性能淡水製造技術を標準的に搭載しています。同時に、近年では旧型の船舶クラスについても機能の向上を図り、最新型の高効率システムを導入することにより、水生産容量を増やしています。 


また全ての船舶において、ほとんど水を流す必要がない真空式トイレを船室ごとに取り付けています。 当社では、1日に数千リットルの水道水を海水から生産しています。


当社の最大級の船舶には、1日に200万リットル以上の水道水を生産する能力を備えています。海と水を保全するという当社の理念を実現するためには、この取り組みを長期的に継続しなければなりません。

4. 廃水から高品質の排水へ

廃水から高品質の排水へ

航行中、当社の船舶から汚水がそのまま放出されることはありません。廃水には必ず適切な処理を施しています。船舶からの排水には、総合的な浄水プロセスを通じた処理を行っています。 


当社では2008年に就航したファンタジア級の船舶以降、高性能廃水処理システム(AWTS)を船舶に搭載しています。高性能廃水処理システムでは、さまざまな廃棄物流を混合し、そこに含まれている大きなごみを濾過して除去することにより、廃水を処理し、極めて高品質の水を精製します。さらに超微細濾過処理プロセスを通じて精製水を再処理し、全世界の沿岸部における大部分の都市廃水要件を上回る基準を満たす排水を生成しています。

当社はAWTSシステムを利用し、有害物質や汚染物質を濾過して除去し、細菌を利用して分解しています。精製後の廃水を滅菌する際には、海洋生物へのリスクを回避するため、塩素を一切使用せず、紫外線処理をしています。また主な指標をモニタリングし、残留している細菌濃度が要件を満たしていることを確認した上で排水しています。 


当社が排出する廃水は、以上のプロセスを通じて水道水にほぼ匹敵する品質を実現しています。 


分離した固体残留物については、サイクルから除去した後、乾燥し、圧縮し、圧迫して高級ペレットを生成します。このペレットを燃料として使用することにより、船内で必要となるエネルギー源の一部とすることができます。航程によっては、この乾燥バイオマスを船舶から陸上に卸し、エネルギー生産用として再利用することもできます。 


環境に害を与える可能性がある他の廃液(食用油、油を含んだ水、機械用潤滑剤、洗浄剤など)については、海へは一切放出せず、認可を受けた業者が船舶から陸上に卸します。 


当社では高性能廃水処理システムを通じて廃水を処理し、水道水にほぼ匹敵する品質を実現しています。

廃水から高品質の排水へ

5. バラスト水処理システムによる海洋生物の保護

バラスト水処理システムによる海洋生物の保護

バラスト水処理システムによる海洋生物の保護

当社の船舶にはバラスト水処理システムを搭載し、船舶が運航する海域の海洋生態系を保護しています。このシステムは、バラスト水管理を統率する国際機関である国際海事機関(IMO)が定める規格に適合しています。それにより、海洋生物にとって望ましくない侵略種が海洋へ侵入するのを防止します。

6. 高性能固体廃棄物管理

高性能固体廃棄物管理

当社では長年にわたり、高性能固体廃棄物管理・リサイクル設備を船舶に搭載する取り組みを自主的に行ってきました。当社では、CLIAの健全環境原則に基づいて廃棄物流を管理し、MARPOL規制要件を全て遵守することにより、海洋汚染を防止しています。

専門のトレーニングを受けた廃棄物処理担当乗組員が有機廃棄物ならびにリサイクル可能な使い捨て製品(プラスチック、金属、紙、ガラスなど)を全て回収し、分別します。また廃棄物を圧縮し、分別し、あるいは焼却します。さらに残留廃棄物については専用の港湾施設まで慎重に搬送します。 


当社では乗組員に対し、廃棄物処理方法だけではなく、廃棄物管理の重要性について理解するためのトレーニングを集中的に実施しています。また最高水準の規格に関する最新情報を確実に把握しておけるように、乗組員に対して継続的にトレーニングを実施しています。 


当社の船舶は200万人を超えるお客様をお迎えしています。そのため固体廃棄物、いわゆる「ごみ」の管理は重要な重点項目となっています。当社では、発生するごみの削減、再利用、リサイクルを目的とした取り組みを行っています。当社の船舶には、船内や陸上で発生する廃棄物に関する全ての要素を一貫して管理する総合システムを搭載しています。


また全ての船舶で廃棄物管理計画を策定し、廃棄物の種類ごとに船内における廃棄物管理方法を詳細に定めています。 当社の全ての船舶には、船内でのごみ管理の責任を担う環境責任者が乗務し、環境計画が正しく遂行されていることを確認しています。また環境責任者は、船内におけるごみ管理規則について乗組員に指示し、トレーニングを実施する責任も担っています。

高性能固体廃棄物管理

7. 使い捨てプラスチック製品の撤廃

使い捨てプラスチック製品の撤廃

使い捨てプラスチック製品の撤廃

MSCクルーズではプラスチック削減プログラムに基づき、運航する全ての船舶と陸上で使用する大量のプラスチック製品を効率的に撤廃する取り組みを行っており、現在はその最終段階にあります。今後はプラスチック製品に代わり、環境に優しい製品を使用します。

当社ではその第一歩として、既に全てのプラスチックストローに代わり、100%堆肥化可能な生分解性製品を使用しています。また全ての飲料品にストローを添えるサービスも中止しました。ただし、ストローを必要とされるお客様は、環境に優しいさまざまなオプションからご利用いただけます。 


MSCクルーズでは船舶を配備している地域においてさまざまな国際サプライヤーや現地サプライヤーと協力し、100%生分解性樹脂を原料とする環境に優しい代替品を提供しています。そのなかには、コーンや砂糖を主成分とするポリ乳酸や、竹、紙などの有機材料をはじめとする再生可能資源が含まれています。また当社ではサプライチェーンの全レベルにおいてサプライヤーと積極的に協力し、製品や包装材に使用する使い捨てプラスチックを可能な限り効果的に撤廃する取り組みを行っています。 


この取り組みは現在も続いています。またMSCクルーズでは、技術上の理由からプラスチック以外の持続可能な代替品を利用できない場合、残り全ての使い捨てプラスチック廃棄物を適切にリサイクルしたいと考えています。

8. 新たな技術とソリューションの探求

新たな技術とソリューションの探求

当社の環境への取り組みは、現在も続いています。当社では、将来の(そして現在の)船舶に使用する新たなソリューションを常に探求し、開発しています。また今後は、環境への影響が小さい革新的なソリューションを船舶に搭載する予定です。

将来的には一部の船舶の動力源として液化天然ガス(LNG)を使用します。LNGを使用した場合、従来の燃料を使用する標準的な船舶用ディーゼルと比較するとSOx排出量は99%以上、NOx排出量は85%以上削減されます。また排ガス中の粒子状物質も大幅に削減されます。 


2022年にはLNGを燃料とする当社初の船舶の供用を開始する予定です。さらに2023年、2024年、2025年、2027年にもLNG船を導入します。


LNGはさまざまな長所を備えているにもかかわらず、LNG燃料供給作業に対応している港湾は現時点で全世界にごくわずかしか存在していません。当社では引き続きこの革新的な燃料への取り組みを継続します。そして現在のサプライチェーンが抱える課題を必ず克服することができるという当社の信念が揺らぐことはありません。 


LNGはクルーズ業界による環境への影響を継続的に抑制することを可能にする重要な要素であると当社では考えています。しかし、LNGがその唯一の手段であるというわけではありません。 


当社では今後建造する全ての船舶に選択的触媒還元(SCR)システムを搭載する予定です。SCR技術を利用すれば先進的な能動的排出管理技術を通じて窒素酸化物(NOx)を無害な窒素(N2)と水に還元することができます。 


MSCグランディオーサは当社が初めてSCR技術を搭載した船舶です。今後建造される全ての船舶にこの技術を搭載する予定です。

新たな技術とソリューションの探求